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​Project - A

鳥取/西郷 - 山口邸改修

Tottori Saigou Pref, - Renonvating a thatched roof House

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- ​ 民家は「きのこ」である  -


民家は、自然の中に生える「きのこ」の様なものだと思う。

​民家は、土地の歴史や暮らしに育まれ、素直に建っている。

民家は、その土地の気候や湿気、目的によって形を変える、

まるで「きのこ」みたいに、

環境によって様々な様相を変える。

私は、きのこの様な、逞しくもしなやかで、

無理なくシンプルな建築空間のあり方を考えたい。

民家に充満した「暗さ」に身を置き、視覚が奪われた時、

畳のひんやり感、囲炉裏に燻されたススっぽい匂い、庭の砂利を踏む音が聞こえる。

それは、何十年も前から変わらずにある「小さな豊かさ」の痕跡だ。

コンビニがない、電車やバスがない、照明がない。

利便性によって覆い隠された小さな豊かさを、等身大の暮らしを、

全身で味わう空間をつくりたい。

- 敷地について -

山口邸は、

鳥取県河原町西郷の村外れに居を構える古民家である。

北向きの前庭と山側の中庭を持ち、

座敷からは、眼前にゆったりと横たわる、

やさしく麗かな山並みを眺めることができる。

集落には、窯元やジビエ料理店、温泉がある。

- 西郷の暮らしと文化の土壌 -

民藝運動を牽引した柳宗悦(山陽地方と比較し)「北の山陰は暗く寒い地理を持ち、貧しく思えても案外色々な品物が見出されます」と語る。

日本海の厳しい気候に耐え、「裏山だ」と揶揄されながらも、

山陰の文化や暮らしぶりは逞しく醸成されてきた。

山陰の持つ「裏」と言うニュアンスをポジティブに変換し、

「慎ましく美しい山々に囲まれた文化や暮らしを礼賛したい」という思いから

「麗かな山を望む」=「麗山望[ウラサンボウ]と言うブランドを立ち上げた。

絵 : ハヤシユウキ

- 未来予想図 -

​正面玄関の提灯は「因州和紙」と地元木工職人の技術を掛け合わせ、民家を訪れた人を温かく迎え入れる。

​前庭に面した縁側で談笑する風景 / 裏庭に面した寝室 / 座敷から山を望む

- 「時間」を収蔵すること -

私は、西郷という地域で流れてきた茫漠たる「時間」の蓄積を、

この民家に収蔵したいと考えた。

煤の色をした大きな梁や天井、屋根裏で養蚕していた時代の竹制のザルや糸車

土間で牛を飼っていた時に貯蓄していた稲藁の薫りを「収蔵」しつつ、

その素形をシンプルな形で伝え、継いでいく場所にしたい。

ここに訪れた人が、この民家を自発的に「味わう」ことのできる場所へ。享受でなく、愛せるように。

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- 「こころを耕す空間」へ -

何よりも自分たちが民家を愉しみながら、また悠然の自然にもたれかかりながら、令和の時代に応じて「衣替え」するように民家を改修したい。改築された土間は一旦元の姿に戻し、地域に供する公共的な空間へ。庭の植栽も整理し、後々は苔の庭に。蔵は薪サウナと風呂に。

結果だけでなく改修の「過程」を楽しみながら、山陰の、ひいては日本の文化や暮らしの美しさ/豊かさを感じる「こころを耕す空間」にしたい。

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- 古民家改修の企画書 -

Planning about renovation

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